映像上映 ホンイ・ヒョンスク×佐藤啓 18:30頃〜

2024年8月30日(土)
参加費 祝儀(ドネーション)
今回の展示の中心作品《アミドン石碑村》は、ホンイ・ヒョンスクがこれまで取り組んできた主題──死や哀悼、共存といった存在論的な領域、国家によって引き起こされた戦争や対立、その中での個人の傷といった社会関係的領域、生活の場である町といった場所の領域、そして情念が宿る石、撫でられる対象である石のように非人間的な物質でありながら社会関係的象徴でもある「石」の領域──を統合した、作家の作品世界における一つの到達点とも言える作品である。
作家はこれまで、巨大な磨崖仏や岩壁といったモチーフを扱ってきたが、近年では石碑のような小さな石にも関心を寄せている。それは、石碑のような小さな石が人々の日常により近い存在であり、その中に込められた物語が多いからであろう。実在する空間の歴史や特性、とりわけその場所に暮らしていた排除され、見過ごされた存在たちの物語を作品に取り上げてきた作家は、アミドン石碑村の石を媒介として、「場所」と「存在」の物語を描こうとした。
釜山のアミドン石碑村は、日本統治時代に共同墓地として使われていた場所である。日本が敗戦すると、遺族たちは墓を移す暇もなく追い出され、そのまま放置された。その後、朝鮮戦争時に避難民たちがその地に定住し、元あった石碑を倒して洗濯板や階段、塀の材料として用いたという。避難民たちは、幽霊よりも恐ろしいのは飢えと寒さであり、住む場所を選んでいる余裕はなかった。むしろ、死者の上に生者が住まわせてもらったことへの申し訳なさと感謝の気持ちから、祭祀や慰霊祭を共に執り行ったとされる。また、そこに埋葬されていた人々が支配層ではなく、庶民や下層階級の出身であり、苦しい人生の末に亡くなったということへの共感があったという。
作家は、このような特異な空間の中で、石碑の主人であったある存在を想像する。その存在とは、すでに亡くなった、若く貧しい日本人兵士である。彼は故郷に戻ることができず、アミドン石碑村の石碑のように、難民のような人生を生きた。しかし、ホンイ・ヒョンスくがこれまで描いてきた他の個人たちと同様、彼もまた故郷だけを見つめる存在ではない。作家は彼の姿に、人種的・階級的社会を批判し、民族や国家を超えようとする者たちの姿、そして恐れを知らないアナーキーな日常を見ている。彼は国家によって定められた「敵」や絶対的な実体ではなく、私たちと同様に、絶えず境界と不一致・葛藤の中で生きる存在であり、共に連帯すべき対象となる。
作家はこのように、現代の戦争や国家間の対立という状況の中で、国内のみならず国外、そして生者のみならず死者にまで理解と共感、そして対話の幅を広げている。また、アミドン石碑村という空間の物質性に着目し、人間の短い生を石を通じて捉えることで、非人間的な存在が人間との関係性の中で意味を獲得する過程を提示している。
この作品は2024年夏に制作され、釜山アミドン石碑村および石碑の内側のような想像上の空間で撮影された。一編の演劇のような物語性をもつこの作品で、作家は「人生にすり減りながらも明るく生きる避難民のおばさん」という役割を演じる。過去と未来が世界の絶え間ない内的作用によって再構成されていくとすれば、映像の中のアミドン石碑村は、作家と日本人パフォーマーの出会いを通じて再創造され、やがて作家が部屋に戻ることで再び現実へと接続されるのである。
2024年 2チャンネル映像、カラー、サウンド 13分42秒
ソウル市立北ソウル美術館 制作支援
演出:ホンイ・ヒョンスク
パフォーマー:佐藤啓、ホンイ・ヒョンスク
撮影・編集:キム・ヒョンジュ
ドローン撮影:キム・イジュン
Bカメラ:ソン・シヨン
音楽:久田舜一郎
助言・通訳:ハ・ジョンナム
テキスト翻訳:コリン・モエ
プロジェクトマネージャー:チェ・ソヨン